旧谷村まつ氏住宅
旧所在地 和歌山県有田郡有田川町粟生
主屋 桁行7.8m 梁間6.7m 入母屋造 茅葺
旧谷村家住宅は、和歌山県の中部、有田川町粟生(あお)にあった茅葺きの農家住宅です。粟生地区は有田川の中流域にあり、林業のほか古くはシュロやハゼの生産などを行っていた地域です。
この民家の建築年代は不明ですが、伝承では約200年前に建てられたといわれており、建築の形式としても18世紀後半のものと考えられます。屋内の平面は三間取りで、この地域のかなり古い民家の形を継承していることがわかります(移築時に建築当初の状態に復元)。
玄関を入ると、奥まで仕切りのない広い土間となっており、手前には地下にイモアナがあり、唐臼が据えられ、奥に三連のカマドが設けられています。家屋右側の座敷部分には、前に仏壇・押入れのある10畳間(オモテ)があり、その奥にイロリのある板の間(ダイドコ)と板の間付の三畳間(ナンド)があります。
旧谷村家住宅の屋根修理工事
園内の移築民家のなかで、伝統的な農家建築である旧谷村家住宅や旧小早川家住宅の屋根は、茅(かや)で葺かれています。茅葺き屋根は、風雨にさらされて徐々に傷んでくるため、25年から30年ごとに葺き替えられます。
旧谷村家住宅では、前回の葺き替えから約15年が経ち、屋根を長持ちさせるために、茅葺きの古くなった部分を掻きおとし新しい茅を差し込む「差し茅」の工事を行い、平成20年10月に完了しました。